茶道具と北欧
柳宗悦とWilhelm Kage。
「日用のものこそ美しく」という概念を海を隔てて共有しあった2人の出会い。ものへの愛情、かたちへの執心に国境がないことを示した偉大な瞬間。そのような背景もありながら、日本と北欧をつなぐ事象に現実的に触れる機会があるのは、とてもありがたいことです。
ギャラリーで長年にわたりお茶とお花の教室を開いていただいている先生からご提供いただいた1枚。以前お求め頂いた、Stig Lindberg [Silur] の筒型鉢を水指に見立てていただいたものです。
塗り蓋は既製のもので、たまたま家にあったものが示し合わせたようにぴったりあつらえることができたとか。まるで居場所が決まっていたかのような様子の画に、不思議なご縁を感じずにはいられません。
飯碗が井戸茶碗に、竹籠は花生に、紅容れは香合に。
四季とともに情緒の深い風情を歩んできた、道具を美しく見たてる知恵。日本人ならではの、翻訳もままならない「侘び寂び」に込められたものに想いをはせながら、北欧の道具に触れる。大切にしていきたい文化です。