実は「北欧ビンテージ」の範疇ですと、マグはなかなか見かけないアイテムの一つ。意外と思われるかもしれませんが、カップ&ソーサーに比べると圧倒的に個体が少ない部類です。
"製陶としての"マグの歴史はかなり新しく、一般的に主流になったのは20世紀に入ってから。(ここでは、drinking glass/cup としてその形状を持ったいにしえの話は除きます)
戦前後のアメリカ市場の台頭と共に、日用のカジュアルな指向から、陶磁器のかつてない膨大な需要と生産性により広く流布していった文化産物になります。
しかしながら、デンマークの"hygge"、スウェーデンの"fika"に表されるように、まったりと長いティータイムを優雅に過ごす上で、カップ&ソーサーが主体的に根強いのもうなづける話。ともあれ、容器は時々の演出に合わせるのが楽しいですね。
さて、こちらのマグ。すぼみ具合とぽってり具合の佳い形に加え、絵が何ともほんわかしております。晴天を仰ぎつつゆったりと漕ぎ進むボートの様。懐かしいカートゥーンの一幕の様です。裏にサインはあるのですが、「作人知らず」。いつかわかるかもしれませんが…